当院は常勤呼吸器科医4名(救急総合診療科兼務1名)が在籍し、肺炎、気管支喘息、COPD、肺がんなど呼吸器疾患全般にわたり診療を行っております。
当院は疾患の急性期に薬物を主体とした治療を行うだけではなく慢性疾患に対する疾患教育や吸入薬などの指導、リハビリスタッフと連携した嚥下機能やADL改善目的のリハビリテーション、予防医療などにも力を入れております。
気胸に関しては救急総合診療科と連携をとり、夜間休日も患者様の受け入れが可能な体制として、保存的治療から外科的切除まで一貫した治療を行います。
院内各部署および他施設と連携をとりながら超急性期から外来、在宅、緩和医療まで一貫した医療の提供を目指します。
ご紹介いただいた患者様は、病状が安定した後にかかりつけの先生への逆紹介を原則として地域の医療機関と連携をとりながら専門的な医療の提供を行っております。
肺がんの初期は無症状で、検診で胸部異常陰影を指摘されて受診となることが多いです。
1枚の胸部X線では小さな陰影を指摘するのは限界があり、同じ施設で定期的に検診を行い、前年のX線と比較読影をして異常陰影を早期に発見することが重要です。
X線で異常を認めた場合には、CTで陰影の部位や大きさなどを確認し、悪性腫瘍が疑われる場合には気管支鏡での検査を行います。
検査で肺がんであった場合はステージング(がんの広がりの確認)を行います。がんの組織型や遺伝子変異の有無、全身状態などをふまえて最善と思われる治療を提案させていただきます。化学療法は当院で可能ですが、放射線治療や外科的切除が必要な場合は近隣の医療機関をご紹介させていただいております。
肺は肺胞(はいほう)という小さな袋が集まっていて、肺胞の壁を酸素や二酸化炭素が通ることでガスの交換をしています。間質性肺炎はこの肺胞の壁がなんらかの原因で硬くなってしまいガスの交換がうまくいかなくなる疾患です。
受診のきっかけは長く続くせきや、階段を上ったときの息切れなどの症状が多いですが、近年では無症状で検診の胸部X線で異常を指摘され受診される患者様が増えています。
間質性肺炎の原因はリウマチなどの膠原病や薬剤の有害事象、慢性的なカビや羽毛の吸入など原因が推定可能なものもありますが、多くが原因不明の特発性間質性肺炎です。特発性間質性肺炎はCTでの画像のパターンや肺生検での顕微鏡像でいくつかの種類がありますが、もっとも多いと言われているものが特発性肺線維症です。
この疾患の経過は様々ですが、徐々に呼吸機能が悪化したり急性増悪を起こして入院となることがあり、現在は線維化を抑制し急性増悪の発症率を低下させる抗線維化薬が上市されており、治療の選択肢として提示させていただくことがあります。
当院では初診の際に膠原病のスクリーニングや環境暴露の有無などの生活歴を確認し、画像パターンをカンファレンスで協議し方針を決定いたします。診断にリウマチ専門医の診察や胸腔鏡下肺生検などが必要な場合は、専門施設を紹介し診断後に当院での経過観察や治療が可能であれば再度当院で外来診療を行います。
また急性増悪の場合はステロイド大量療法や免疫抑制剤の投与、人工呼吸器管理など経過や状態に応じて検討いたします。
気管支喘息は、子供から大人まですべての年齢層で発症する気道(空気の通り道)の病気で、日本では子供の8~14%、大人では9~10%が喘息をもっているともいわれます。喘息の人の気道は、症状がないときでも常に炎症をおこしており、健康な人に比べて気道がむくんで狭くなり、空気が通りにくくなっています。そのため
などさまざまな症状が出現します。このような症状が非常に強くなった状態は「喘息発作」と言われます。発作は、花粉や真菌(カビ)、ペットの毛・フケなどのアレルギーの原因物質や、タバコの煙、カゼ(ウイルス感染、細菌感染)などに暴露されることで起きます。また原因物質の暴露に加えて、喘息発作は下記の状況で出やすいことが知られています。
このような状況でせき・痰・呼吸困難症状がある場合には気管支喘息の可能性があり、早めに医療機関に受診することが推奨されます。
喘息の診断は、呼吸機能検査で気道の空気の流れが悪くなっていないかどうかを調べます。また、痰の検査や、吐いた息の中の一酸化窒素濃度などを測定して気道の炎症がないかどうか、血液検査でアレルギー体質かどうかなども検査し、総合的に診断をおこなっていきます。
気管支喘息の診断を受けた患者様で、川崎市在住の方は、川崎市の「成人ぜん息患者医療助成制度」を活用することで、気管支ぜんそくにかかわる保険医療費の自己負担額の一部助成を受けることが可能で、当院にて申請の診断書記載も併せて対応いたします。
喘息の治療は、症状をとることはもちろん、無症状でも水面下で残存している気道炎症を抑えることが目標になります。なぜなら、炎症が残存していると喘息発作を起こしやすくなってしまいます。また発作を何度も繰り返していると、リモデリングと言って、気道が細い状態で固まってしまい呼吸機能が著しく低下し、回復しなくなってしまいます。そのような状態になるのを避けるため、気管支喘息ガイドラインにのっとり、患者様の症状に合わせて最適な薬剤を選択していきます。
治療の基本の薬は吸入薬(口から吸いこみ、気道に直接薬を届けます)になります。その他症状にあわせて、内服薬(抗アレルギー薬物アレルギー、テオフィリン除放製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬など)を追加するか判断をし、状態が安定したらお近くのクリニックにご紹介をさせて頂きます。
また当院では重症喘息の患者様を対象に、近年開発された生物学的製剤(抗IgE抗体、抗IL-5抗体、抗IL-5受容体α抗体、抗IL-4/13受容体抗体)を用いた最新の治療についても対応をしております。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで、肺が壊れたり(肺気腫)、気管支に炎症が生じたりする疾患です。喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病といえます。
喫煙者の15~20%がCOPDを発症します。タバコの煙を吸入することで肺の中の気管支に炎症がおきて、気管支が細くなることによって空気の流れが低下します。また、気管支が枝分かれした奥にあるぶどうの房状の小さな袋である肺胞(はいほう)が破壊されて、肺気腫という状態になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下します。
代表的な症状は、歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難や慢性のせきや痰がでることです。一部の患者様には、喘鳴や発作性呼吸困難などぜんそくの様な症状を合併する場合もあります。
長期の喫煙歴があり慢性にせき、たん、労作時呼吸困難があればCOPDが疑われます。確定診断には呼吸機能検査を行い、気管支が狭い状態かを判定します。また胸部のX線検査や高分解能CT検査で画像的にも肺の状態を評価していきます、
またCOPDは肺だけの疾患ではなく、循環器疾患・消化器疾患、内分泌疾患(狭心症、伸筋梗塞、逆流性食道炎、糖尿病など)、骨格筋力の機能低下、栄養障害、骨粗鬆症などの併存症をともなう全身性の炎症性疾患です。これらの肺以外の症状が重症度にも影響を及ぼすことから、併存症も含めた病状の評価や治療が必要になります。当院では各科の専門医と連携、および栄養科の栄養指導や、リハビリスタッフによる呼吸器リハも含めて併存症への対応もしていきます。
COPDに対する管理の目標は、(1)症状および生活の質の改善、(2)運動能と身体活動性の向上および維持、(3)増悪(せき・痰の増加、呼吸困難症状が悪化すこと)の予防、(4)疾患の進行抑制、(5)全身併存症および肺合併症の予防と治療、(6)生命予後の改善にあります。気流閉塞の重症度だけでなく、症状の程度や増悪の頻度を加味した重症度を総合的に判断したうえで治療法を決定していきます。
そもそも喫煙を続けると呼吸機能の悪化が加速したり、治療薬物の効果が減弱することが分かっています。よって治療の第一歩は禁煙になります。禁煙が難しいと感じる場合にも、麻生リハビリ総合病院と連携をして、禁煙外来にてサポートをさせて頂きます。
禁煙が成功したら次に、治療に入ります。COPDの治療は大きくわけて、「薬物治療」と「非薬物治療」の2本立てで行います。
薬物療法の中心は気管支拡張薬の吸入になり、内服薬を必要に応じ併用していきます。
非薬物療法では呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸訓練・運動療法)や栄養指導(COPDの患者様は呼吸にエネルギーを消費するので痩せ気味になります)を行っていきます。また肺からの酸素の取り込みが悪く、低酸素血症が進行してしまった場合には、在宅酸素療法もおこなっていきます。
また感染症などを契機に、COPDの状態が急速に悪化してしまうことがあります。増悪を予防するためにも、当院ではインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種をお勧めしています。
病原微生物が感染し肺実質に炎症を起こした状態が感染性肺炎です。病原微生物の感染によらない肺炎(前述の間質性肺炎など)とは区別されます。症状としてはせき、痰、息切れ、胸痛といった呼吸器症状や、発熱、倦怠感、食思不振、意識障害といった全身症状がありますが、ご高齢の方では症状がでにくく何となく元気がない、食欲がないといった場合もあります。問診、身体所見、胸部レントゲン・CTといった画像検査や血液検査で診断します。肺炎と診断されたら外来で内服の抗菌薬治療や、病状に応じて入院で点滴の抗菌薬治療・酸素投与など行います。
感染性肺炎には飲み込みや痰を出す力が弱くなったことで起こる誤嚥性肺炎もあります。のどや気管に食物や唾液などの異物が残り増殖した細菌が肺で炎症を起こしたものが誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎の治療は抗菌薬治療だけに頼らず、リハビリや口腔ケア、食事形態の調整や環境調整など多面的なアプローチが重要です。当院ではリハビリスタッフ含め多職種と連携し、嚥下リハビリテーションや嚥下造影検査など行いながら食事指導、環境調整も行っています。
また予防医療の一環として、市中肺炎と呼ばれる日常生活の中でかかってしまう細菌性肺炎の原因菌として一番多い肺炎球菌に対するワクチンや、肺炎のきっかけにもなり得るインフルエンザのワクチン接種を当院では勧めさせていただいています。
細菌のうち抗酸菌属に分類されるものに結核菌、非結核性抗酸菌やライ菌があり、結核菌や非結核性抗酸菌による感染症を抗酸菌症と言います。
結核菌が肺に感染して起こる病気です。肺結核を発病するとせき、痰、血痰、だるさ、発熱、寝汗、体重減少などが出ることもありますが、無症状のこともあります。結核菌は人に寄生する菌で環境中では生存できないため、結核を発病している人がせきをしたときに出る結核菌を含んだ細かいしぶきを通して人から人に感染します。そのためせき、痰が出る場合、他人にうつる可能性が高くなります。痰の中の結核菌が少なければ外来治療が可能ですが、結核菌が痰から大量に出ている場合には他人にうつらないよう、菌が減ってくるまで結核専門施設で入院治療を要します。結核と診断されたら、抗結核薬の内服治療をします。標準治療は6ヶ月間と長いですが、途中でやめて治療が中途半端になると薬剤耐性結核となり薬が効かなくなってしまうため、最後までしっかり治療することが大切です。当院では肺結核の診断と外来治療を行っています。他人にうつる可能性がある病状と判断した場合は入院治療ができる結核専門施設へご紹介させていただきます。
非結核性抗酸菌が肺に感染して起こる病気です。非結核性抗酸菌とは結核菌とライ菌以外の抗酸菌の総称で、土や水などの自然環境中に広く生息し現在150菌種以上が発見されています。菌を含んだ埃や水滴を吸入することにより感染すると推定されており、感染するとせき、痰、血痰、だるさ、発熱、寝汗、体重減少などが出ることもありますが、無症状のことも多くあります。多くは数年から10年以上かけてゆっくりと進行します。肺非結核性抗酸菌症は他人にうつることはないため、外来治療を行います。
治療は数種類の抗菌薬を数年にわたって服用する薬物療法や、病変が限局していれば手術療法などがあります。非結核性肺抗酸菌症の7〜8割ぐらいはMAC(Mycobacterium-avium complex)と呼ばれる菌で占められ、次に多いのがM.kansasiiです。MACは薬物療法で治癒困難ですがM.kansasiiは治癒が期待できるなど、菌種による違いがあり、治癒が難しい場合は治療を行わず経過観察を続けていくこともあります。菌種や病状、また基礎疾患などで治療方針が異なるため、まずは受診し検査や治療についてご相談ください。
専門分野 | 消化器内科 |
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専門分野 | 内科、循環器科 |
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出身大学 | 東京医科大学(1988年卒) |
一言メッセージ | 血圧や心臓の病気などでお悩みのことがございましたらお気軽にご相談ください。 |
専門分野 | 一般内科、消化器内科 |
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出身大学 | 東海大学 |
資格 | 日本内科学会 認定医 |
一言メッセージ | 皆様がお困りな事を解決できるよう努めております。 |
役職 | 在宅診療部長 |
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専門分野 | 呼吸器内科、アレルギー科、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、睡眠時無呼吸症候群、在宅診療 |
出身大学 | 昭和大学 |
資格 | 日本内科学会 総合内科専門医 |
一言メッセージ | 喘息、COPD、肺炎など呼吸器疾患を専門にしています。また、ご自宅への訪問診療もしております。最適な医療を安心して受けて頂けるよう尽力してまいります。 |
専門分野 | 呼吸器内科 |
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出身大学 | 昭和大学 |
資格 | 日本内科学会 認定医 |
専門分野 | 総合診療、呼吸器、感染症、医学教育 |
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出身大学 | 千葉大学 |
資格 | 日本内科学会 総合内科専門医 |
一言メッセージ | 院内外の各職種の方々と協力し、地域の皆さんに持続可能な医療を提供できるよう心がけます。 |
専門分野 | 救急医学、内科一般、感染症 |
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出身大学 | 近畿大学 |
資格 | 日本救急医学会 救急専門医 |
一言メッセージ | 感染症全般を専門としています。丁寧で誠実な対応を心掛けております。宜しくお願い致します。 |
役職 | 客員部長 |
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専門分野 | 神経内科 |
出身大学 | 聖マリアンナ医科大学 |
資格 | 日本内科学会 専門医 |
役職 | 客員部長 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
出身大学 | 東京慈恵会医科大学 |
資格 | 日本内科学会 認定指導医・総合内科専門医 |
役職 | 客員部長 |
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専門分野 | 循環器内科学、不整脈学 |
出身大学 | 聖マリアンナ医科大学 |
資格 | 日本内科学会 認定医 |
専門分野 | 一般内科・消化器内科 |
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出身大学 | 熊本大学 |
一言メッセージ | 皆様に寄り添った診療を心がけてまいります。 |
専門分野 | 内科、循環器科、糖尿病内科 |
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出身大学 | 横浜市立大学 |
資格 | 日本内科学会 総合内科専門医、認定医内科医 |
午前 | 午後 | |
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月 |
中澤 潔 足利 光平 大山 剛 (循環器) |
東 徹 (消化器) (13時30分~16時30分) 牧野内 龍一郎 (腎臓内科) (13時30分~16時) 薄元 宗一郎 (循環器) |
火 | 加藤 行雄 (消化器) 小川 隆 (循環器) 佐藤 高央 (感染症) 杉原 浩 (神経内科) 島田 海 (消化器) |
★中澤 潔 飛鳥井 邑 (循環器) |
水 |
中澤 潔 |
田中 徹 |
木 | 菅 泰博 (呼吸器) 加藤 行雄 (消化器) 小川 隆 (循環器) 川越 康仁 (循環器) |
林 浩一 (消化器) (13時30分∼15時30分) 川越 康仁 (循環器) |
金 |
中澤 潔 髙橋 啓 (循環器) |
甲斐 貴彦 (循環器) 麻生 芽亜 (腎臓内科) (13時30分~16時) |
土 | 菅 泰博 (呼吸器) (第2週・第4週) 加藤 行雄 (消化器) 小川 隆 (循環器) 尾下 文浩 (呼吸器) |
休診 |
休診・代診のお知らせはありません。
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