スポーツや事故などの外傷で肩関節脱臼をおこし、その後反復して脱臼もしくは亜脱臼してしまう、いわゆる脱臼癖の状態のことです。
初回脱臼の際に、肩関節を包んでいる袋(関節包)の付着部(関節唇)が関節の受け皿(関節窩)から剥離してしまい、これが修復されず、緩んだ位置でくっつく事で肩関節の前方関節包にゆるみができます。この関節唇、関節包靭帯複合体の剥離、損傷をバンカート病変と呼び、主に反復性肩関節脱臼の原因となります。また、剥離した関節唇に関節窩の骨片を伴っている場合もあります(骨性バンカート損傷)。以上のような病態が90%以上をしめます。
また、稀ですが原因が、関節の袋そのものの損傷(関節包断裂)である可能性が10%、反対側(上腕骨側)での関節包の剥離(HAGL病変)である可能性が5%であります。
肩関節が脱臼しやすくても生命に危機があるわけではありません。では、手術が必要な人とはどのような方でしょうか?
保存療法と手術療法があります。一般的には筋力トレーニングなどの保存療法はほとんど効果がないといわれています。さまざまな手術法がありますが、当院ではカメラ(関節鏡)で修復を行う手術を行っており、患者さまにあわせて二種類の鏡視下手術を行っております。