反復性肩関節(亜)脱臼とは?

スポーツや事故などの外傷で肩関節脱臼をおこし、その後反復して脱臼もしくは亜脱臼してしまう、いわゆる脱臼癖の状態のことです。

なぜ癖になってしまうのか?

初回脱臼の際に、肩関節を包んでいる袋(関節包)の付着部(関節唇)が関節の受け皿(関節窩)から剥離してしまい、これが修復されず、緩んだ位置でくっつく事で肩関節の前方関節包にゆるみができます。この関節唇、関節包靭帯複合体の剥離、損傷をバンカート病変と呼び、主に反復性肩関節脱臼の原因となります。また、剥離した関節唇に関節窩の骨片を伴っている場合もあります(骨性バンカート損傷)。以上のような病態が90%以上をしめます。

また、稀ですが原因が、関節の袋そのものの損傷(関節包断裂)である可能性が10%、反対側(上腕骨側)での関節包の剥離(HAGL病変)である可能性が5%であります。

手術の適応は?

肩関節が脱臼しやすくても生命に危機があるわけではありません。では、手術が必要な人とはどのような方でしょうか?

  • 脱臼不安感のため日常生活上支障がある人。または日常生活上ちょっとしたこと(例えば寝返り、後の物をとろうとして、くしゃみをして、など)で頻回に脱臼してしまう人などが手術の適応となります。
  • スポーツ選手で日常生活では支障はないが、脱臼癖や脱臼不安感のために現在のスポーツ活動に支障をきたしている人。
  • コンタクトプレーの多いスポーツ選手(ラグビー、アメリカンフットボール、格闘技など)で早期復帰、再脱臼予防を希望される人。

治療方法は?

保存療法と手術療法があります。一般的には筋力トレーニングなどの保存療法はほとんど効果がないといわれています。さまざまな手術法がありますが、当院ではカメラ(関節鏡)で修復を行う手術を行っており、患者さまにあわせて二種類の鏡視下手術を行っております。

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